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Youは何しに「青い鳥」へ?

高松市国分寺町 花岡正憲様

ご購入された機種:パウエル ハンドメイド・コンセルヴァトリー・モデル

語学やスポーツなど,人間の脳には,学習するのに適切な時期があり,その時期を過ぎると学習が非常に困難になる臨界期があると言われます。音楽学習も例外ではありません。透明感のある音色に魅せられ,臨界期を遥かに過ぎ,人生のステージⅣに入って始めたのが単音楽器フルートです。

2016年12月,東京音楽大学コンサートで耳にしたジョルジュ・エネスコ作曲のフルート曲「カンタービレとプレスト」,伸びやかで細かな旋律,そして華やかな技巧を暗譜で演奏された奏者に鮮烈な印象を受けました。奏者プロフィール欄に目をやると,たかまつ楽器講師とありました。当時ついていたフルートの先生がご家庭の事情でレッスンの時間調整が難しくなり,モティベーションが落ち気味でしたが,「この奏者の生徒になれると,この先自分のフルートにも何か好いことがありそうだ」と,脳内ドーパミンの活性が高まる瞬間であったことを覚えています。これが松浦萌先生との出会いです。

ある調査によれば,大人の3人に1人が「機会があれば何か楽器を習ってみたい」と思っているとのことです。とは言え,楽器を始めること,そしてそれを続けることは,学習者の意思だけでは限界があることも事実でしょう。独学ではなく講師につくことが大切なのは,楽譜に書かれている以上のものを学べるからと言われます。時間はかかっても,確実に進化を実感できること,ときには先生の助言や模範演奏を通してその場での変化を体験できること,このように生徒をエンパワーできる講師の先生の存在は不可欠だと思います。

講師の先生が,音楽家として有能であるだけでなく,日頃から研鑽を積まれ,新たな挑戦に臨まれ,ステージに上がれば,心から音楽を愛する一人の人間であることも生徒にとっては,大きな励みになっています。

2021年11月,新しい音を求めて,フルートをグレードアップしました。松浦先生に試奏の機会を設けていただき,何本かのフルートのうちから選んだ一つが,いま愛用しているパウエルのハンドメイド・コンセルバトリーです。それまでのカバードキー・CフットからリングキーのBフットに代わり,このプロ仕様をやや持て余し気味ですが,「少し手ごわく,気難しい新しい友」とのつき合い方についても,先生に丁寧なご指導をいただいています。

フルートの音は,基本的には,唄口のエッジに当たる息のスピードと空気が通過していく管の長さによって決まります。原理は単純ですが,コントロールには複合的要素が求められます。心身のコンディションの影響を受けやすく,それだけに毎回スリルに富んだ冒険があります。

普段の生活の中で,自分自身で自分を喜ばせる時間,言わば「青い鳥」探しの時間を持っておくことは,健康づくりに欠かせません。その点で,好きな楽器の演奏と定期的レッスンのルーティン化も,大切な健康度指標になるでしょう。因みに,楽譜を追いかける,先読みすることで,明らかに動体視力が向上します。年齢とともに車の運転に自信がなくなる人は,楽器演奏がおすすめ。さらに,喉の筋肉も鍛えられ,誤嚥予防というおまけも欲しい人は,フルートがおすすめです。こんなところにも隠された「音楽は健康に良い」という事実が潜んでいるようです。